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研究トピックス

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No.5 新型コロナウイルス感染,症状改善にクルクミンが有効か?

ウコンの含有成分としてよく知られるクルクミンでは,これまでに多くの臨床研究がされ,抗ウイルス作用についても成果が報告されている。

今回,イランのマシュハド大学が新型コロナウイルスに関する興味深い論文を発表した。

 

この臨床試験では,新型コロナウイルス感染で入院した患者に標準的な治療に加えてクルクミンを投与した場合,回復期間に違いがあるかが調査された。

 

軽度から中等度の症状をもつ21名の入院患者に,標準的な治療に加えてクルクミン一日40mgを2週間投与し,発熱や喉の痛み,嗅覚や味覚障害,呼吸困難,胃腸や皮膚の障害などの症状や,血液検査値,そして動脈血酸素飽和度の変化を入院中に記録し,また,退院後に経過をチェックした。

 

その結果,クルクミン投与グループは,投与しないグループ20人と比較して,症状がより早く改善,酸素補給期間,入院期間も短く,退院後も悪化はなく良好だった。

 

クルクミンは新型コロナウイルスの細胞への侵入・複製を阻害し,様々な細胞シグナル伝達経路を調節する可能性が他の研究で示唆されており,その裏付けともなる臨床試験の一つとも言える。今後,対象人数を拡大した研究が期待される楽しみな結果だ。

〔文献〕

Saber-Moghaddam, N., Salari, S., Hejazi, S., Amini, M., Taherzadeh, Z., Eslami, S., Rezayat, S.M., Jaafari, M.R., Elyasi, S.

Oral nano-curcumin formulation efficacy in management of mild to moderate hospitalized coronavirus disease-19 patients: An open label nonrandomized clinical trial. Phytotherapy Research. 2021;1–8, doi: 10.1002/ptr.7004.

​​(3/31/2021 報告:河野加奈恵 学術委員)

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