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​研究会報告

2021年1月 JAMHA主催 第2回学術フォーラム

第2部『ハーバード大学式 命の野菜スープ』高橋弘先生(麻布医院院長/ハーバード大学医学部内科元准教授)

ハーバード大学式「命の野菜スープ」はニンジン、キャベツ、タマネギ、カボチャを使った誰にでも簡単に作れる野菜スープである。一番良いところは飲むとほっとすること、忙しい時も疲れが取れて気持ちを穏やかにしてくれること。その上、肥満を防ぎ体重を減らすダイエット効果、糖尿病や高血圧を予防・改善する作用、脂肪肝や脂肪肝炎を改善する作用、動脈硬化を予防する作用、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ作用、便秘改善・腸内環境を整える作用、発がんを予防する作用、炎症やアレルギーを抑える作用、免疫力をアップする作用など、体にやさしい自然の力を秘めた最強の野菜スープである。

 

【命の野菜スープの作り方】

《材料》ニンジン、キャベツ、タマネギ、カボチャ…各100g

    水…約1L

《作り方》①野菜はそれぞれ一口大の食べやすい大きさに切る

     ②鍋に野菜と野菜が隠れるくらいの水(約1L)を加え強火にかけ、沸騰したら蓋をして弱火で20分間加熱する

《ポイント》鍋はホーロー鍋が一番おすすめで、しっかり蓋をすること

      野菜に含まれる香り成分はほとんどが水溶性成分なので、ホーロー鍋だと香り成分が逃げていかずスープに閉じ込められるため

《スープの摂り方》スープは食事の最初に摂り、具も食べる(スープファースト)        

《アレンジ》味付けは基本的にはせず食塩や人工調味料は一切加えないが、アレンジは自由

      「チキンスープ」…炒めた鶏の手羽先を入れる

      「スープカレー」…カレー粉を入れる

      「アクアパッツァ」…金目鯛やイサキなどの白身魚を入れる

      余った具はクリームシチューや野菜ポタージュに利用できる

      夏は冷蔵庫で冷やして食べると、より美味しい

      多めに作って冷凍庫に保存すると便利

 

【命の野菜スープの良いところ】

 当クリニック・麻布医院では「命の野菜スープ」を生活習慣病の患者さんの治療に実践し

効果をあげている。では、命の野菜スープの良いところは何かというと

①    作り方が簡単で、一年中手に入る材料で作れる

②    1日の推奨量(350g~400g)の野菜(400g)が摂れる

③    総カロリーは野菜400gを食べても190kcalで低カロリー

④    お腹も満腹になるので、無理なくダイエットができる

⑤    1日の推奨量のビタミンA(1054㎍RAE)、ビタミンC(98mg)、そして1日の目安量のビタミンE(5,5mg)が摂れる

⑥    食物繊維は1日の目標量の半分(9,7g)が摂れる

⑦    命の野菜スープのカリウム量は最大で1100mgなので、重篤な腎不全患者の1日の摂取基準(≦1500mg/日)を超えることはないため、重症なステージ5(GFR<15)の腎不全患者でも安心して摂取できる

 

【命の野菜スープの作用】

 それではどうして、この命の野菜スープが体に良いのか?というと、

①    活性酸素を消去する抗酸化作用

②    体の毒を解毒するデトックス作用

③    動脈硬化、脳梗塞・心筋梗塞を予防する作用

④    血圧を下げる作用

⑤    肥満や高血糖、高脂血症を改善する作用

⑥    胃腸の調子を改善する作用

⑦    発がんを予防する作用

⑧    がんや感染症と闘う免疫力を強くする作用

⑨    アレルギーや炎症を抑える作用

 

このような作用があり、それぞれの理由は次のように考えられる。

①    キャベツやニンジンに含まれるビタミンC、カボチャのビタミンE、タマネギのイソアリシンやケルセチン、ニンジンのα-カロテン、ニンジンやカボチャのβ-カロテン、これらが活性酸素(一重項酸素、ヒドロキシラジカル)を消去する抗酸化作用を持っている。

②    キャベツに含まれるイソチオシアネートは肝臓の第Ⅱ相解毒酵素の活性を上昇させ、有害物質や発がん物質を無毒化するデトックス作用がある。

キャベツ、タマネギ、ニンジンの食物繊維は、腸内細菌を整えて便通を促し、有害物質や発がん物質をデトックスしてくれる。

③    ニンジン、カボチャに含まれるβ-カロテンは悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する。

キャベツのイソチオシアネート、タマネギのケルセチンは血小板の凝集を抑制し血液サラサラ作用で、心筋梗塞や脳梗塞を予防する。

④    カリウムはナトリウムを腎臓から排泄する働きがあり、血圧を下げる。

食物繊維は塩分が腸から吸収されるのを防ぐため、血圧が改善する。

⑤    キャベツ、タマネギ、ニンジンには水溶性の食物繊維が豊富に含まるため、食事の前に摂ると糖質やコレステロールの吸収が阻害され、肥満や高血糖、高脂血症を改善する。

⑥    キャベツ、タマネギ、ニンジンに含まれる食物繊維が便通を改善する。

キャベツに含まれるキャベジン(ビタミンU、MMSC:メチルメチオニンスルホニウムクロリド)が胃の粘膜を守るため、命の野菜スープを続けると胃腸の調子が良くなる。

⑦    ビタミンCやイソチオシアネート、β-カロテン、ケルセチンが遺伝子を傷つける活性酸素を消去する抗酸化作用、発がん物質を解毒・排泄するデトックス作用、免疫力を強くする作用と炎症を抑える作用、がんを直接抑制する作用によって発がんを予防する。

⑧    ニンジン、カボチャに含まれるβ-カロテンは免疫力を強くする作用がある。

⑨    タマネギのケルセチンには抗炎症作用がある。

 

【免疫とは?】

 では、免疫とは何かというと、

 『病原体(細菌やウイルスなど)やがん細胞などの異物を排除する仕組みのこと』

 

 かつては「疫病から免れる」という意味や「一度かかった伝染病に二度はかからないこと(二度なし現象)」という意味で使われていた。

 現代ではもう少し広い概念で「体内に病原体が侵入した時、あるいは、がんのようなものが発生した場合に、これを選択的に排除しようとする機能(自己の生存にとって不利益な外敵から自分を守る仕組み)」を免疫と呼んでいる。

 

 免疫には、病原体やがん細胞をいち早く察知して働き始める「自然免疫」と、病原体やがん細胞の特徴を調べてから総攻撃する「獲得免疫」がある。

「自然免疫」は、好中球、マクロファージ、樹状細胞などの免疫細胞が病原体やがん細胞を無差別(非特異的)に食べたり、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が病原体に感染した細胞やがん細胞を壊したりすることで、病原体やがん細胞の増殖を防いでいる。

また、「獲得免疫」は、病原体が感染した細胞やがん細胞を破壊するキラーT細胞、抗体を作り病原体を攻撃するB細胞、病原体の特徴をキラーT細胞やB細胞に伝えサイトカイン(免疫細胞の数を増やしたり機能を強化する物質)を産生し活性化させるヘルパーT細胞が関わっており、より特異的で強力な免疫を発揮する。

 

【自然免疫と獲得免疫の連携】

 かつては、自然免疫と獲得免疫はそれぞれ独立した免疫システムだと考えられていたが、近年、自然免疫と獲得免疫は巧みに連絡を取り合い協力し合っていることが分かってきた。自然免疫がなければ獲得免疫は全く成立しないと言っても良いほどお互いの協力関係は強力である。また、獲得免疫は一度かかった病原体を覚えていて、同じ病原体が再びやってくるとすばやく免疫反応を起こし、同じ病原体が再び感染しても症状として現れなくなる。その結果、一度かかった伝染病に二度はかからない「二度なし現象」が起こる。つまり、自然免疫を強化することが獲得免疫(二度なし現象)を成立させるためにも重要である。

このように免疫は2段階の仕組みで体を守っているのである。

 

 ここで、新型コロナウイルスで免疫応答を考えてみる。新型コロナウイルスが体内に入ってくると、まず自然免疫が働き、マクロファージや樹状細胞がウイルスを食べ、NK細胞がウイルスに感染した細胞を破壊する。また樹状細胞などから産生されたインターフェロンがウイルスの増殖を抑制し、感染細胞の近くにいる正常細胞への感染を阻害する。

 それに引き続き獲得免疫が動き出す。樹状細胞がウイルスの情報をヘルパーT細胞に提示すると、ヘルパーT細胞は実行部隊であるキラーT細胞やB細胞にウイルスの情報を伝え、発動を指令する。そして、ヘルパーT細胞に指令されたキラーT細胞は新型コロナウイルスに感染した細胞そのものを破壊してウイルスを撃退し、B細胞は新型コロナウイルスだけを攻撃する特異的な抗体を作り、感染細胞から放出されたウイルスを中和してくれる。

このように自然免疫と獲得免疫は巧みに連絡を取り合って協力している。

 

【免疫が低下する原因】

①    加齢(免疫力は20~30代でピーク、40歳過ぎから低下)

②    毎日の生活習慣

・偏った食生活(暴飲暴食、偏食、アルコール過剰摂取、ビタミン不足、鉄の過剰摂取)

・ストレス、過労、運動不足、睡眠不足、喫煙、冷え、不摂生、日光に当たらない

・肥満、生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病)

③    有害物質(抗生物質、食品添加物、建材からの有害物質)

④    環境因子(紫外線、排気ガス)、その他

 

免疫が低下する原因は様々だが、一番の原因は生活習慣である。しかし、生活習慣で免疫が低下するなら、生活習慣で改善出来るはずである。そこで食事に注目した。ハーバード大学でがんと免疫を研究テーマにしていた私は食事と免疫の関係に強い関心を持ち、植物に含まれる「ファイトケミカル」にも注目してみた。

植物は太陽の光を浴びて光合成を行い、成長する。その時紫外線が大量の活性酸素を発生して、細胞を傷つける。植物は身を守るために自ら抗酸化物質を作り出す。これがファイトケミカルである。植物を害虫やカビなどの外敵から守る生体防御の役割もする。人では抗酸化作用以外にも、抗がん作用や免疫の増強・調整作用もある。

 

 免疫が低下すれば感染症やがんの発症を許し、過剰に反応すればアレルギーや自己免疫疾患の原因になる。免疫は私たちの健康を支える要である。免疫は強化することも大切だが、実は過剰になった免疫反応を抑えることも重要である。

 

ここで、ヘルパーT細胞の分化を考えてみる。ヘルパーT細胞には、キラーT細胞を誘導するTh1細胞とB細胞を分化させて抗体を産生させるTh2細胞がある。これらのTh1細胞、Th2細胞が過剰に反応するとアレルギー疾患や炎症疾患の原因になる。例えばTh1細胞が過剰に反応すると遅延型の細胞性免疫を誘導し、Th2細胞が過剰に反応すると即時型過敏反応を誘導する。Th17細胞は、組織の炎症に関わり自己免疫疾患などの炎症性疾患を誘導する。

一方でナイーブT細胞からTh1細胞、Th2細胞、Th17細胞が出来るわけだが、Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞の働きを抑制する制御性T細胞(Treg)もナイーブ細胞から作られる。そして制御性T細胞(Treg)は、Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞の働きを抑制し、過剰な免疫や炎症反応を抑える働きがある。

 

【命の野菜スープと免疫力】

免疫力アップには、攻撃力を持つ免疫力と免疫を制御する2種の免疫力の強化が必要で

ある。命の野菜スープには、自然免疫と獲得免疫の両方を活性化する効果のほかに、過剰な免疫反応を抑える抗アレルギー作用や抗炎症作用もある。

 

・β-カロテン(ニンジン、カボチャ)…キラーT細胞、NK細胞、マクロファージ活性化して免疫の攻撃力を強化する。また体内でビタミンAに変化して粘膜の免疫バリアを強化し、細菌、ウイルスの侵入を防ぐ。α-トコフェロール(ビタミンE)と一緒になるとアレルギー反応の原因であるIgE抗体産生を抑え、アレルギー体質を予防する。

・ビタミンC(キャベツ、カボチャ)…インターフェロンの産生を促進し、がんや感染症に対する免疫力を強くする。過剰な免疫反応を抑える抗アレルギー作用や抗炎症作用もある。

・ケルセチン(タマネギ)…IgE抗体の産生を抑制しアレルギー反応を抑える。炎症惹起物質の生成を促進するNF-κ-Bの働きを抑制してサイトカインやプロスタグランジンなどの産生を抑え炎症を抑制する。腸管免疫における抑制性T細胞(Treg)を活性化し、食物アレルギー体質を改善する働きが期待される。

・水溶性の食物繊維(ニンジン、キャベツ、タマネギ、カボチャ)…腸内細菌のエサになり、腸管免疫を活性化して感染を防ぐ。免疫を調整する抑制性T細胞(Treg)を活性化する働きがあり、過剰な免疫反応を抑えてくれる。

 

【ファイトケミカルとは】

 では、ファイトケミカルとは何か?

『ファイトケミカル(Phytochemical)は植物が作る天然の機能性成分で、ファイト(Phyto)は「植物」という意味』である。

 

紫外線により発生する活性酸素や害虫などによる危害から自らの身を守るために植物が作る機能性成分である。

「動物」は動く物と書くように、動くことで自分の身を守ることが出来る。ところが「植物」は細胞の回りに硬い細胞壁があるため動くことが出来ない。主に光合成で生きているため、常に太陽の光が必要である。そのため過剰に発生する活性酸素を消去(無毒化)する物質を作っている。それがファイトケミカルである。

 

 ファイトケミカルの9割は野菜や果物などの植物性食品に含まれ、その数は1万種類以上あると考えられている。今見つかっているものでも数千種類にもなる。

 ファイトケミカルは、私たち人間にとっても大変身近にあるものである。よくビタミンカラーなどと言われているが、野菜と果物の色はビタミンの色ではなくファイトケミカルの色(赤、黄色、緑、紫、白、黒)であり、それぞれの色には体にやさしい天然の力が秘められている。

 

【ファイトケミカルの分類】

1. ポリフェノール…抗酸化物質(アントシアニン、イソフラボン、ルチン、カテキン、ヘスペリジン、クロロゲン酸、ジンゲロール、クルクミン)

2. 含硫化合物(イオウ化合物)…辛味・香り成分(イソチオシアネート、システインスルホキシド類)

3. カロテノイド類(脂質関連物質)…色素成分(α,β-カロテン、リコペン、アスタキサンチン、カプサンチン、ルテイン、フコキサンチン)

4. 糖関連物質…免疫活性化物質(β-グルカン、フコイダン)

5. アミノ酸関連物質…栄養素(タウリン、グルタチオン、キャベジン)

6. 香気成分…香り成分(オイゲノール、リモネン)

 

それでは、ファイトケミカルは五大栄養素と何が違うのか?

三大栄養素は、糖質、脂質、たんぱく質。ビタミン、ミネラルを加えて五大栄養素。これらはエネルギー源や体の素材(部分)となる成分である。人間の体は五大栄養素を使った後に色々廃棄物が出てくる。これを処理してくれるのがファイトケミカルである。

 

 ファイトケミカルは、栄養素がエネルギーを作る時に出す副産物である活性酸素を消去する、老廃物や有害物質を解毒する、免疫力を強くする、発がんを抑制するなど非常に重要な機能を持ち、生活習慣病を予防してくれる。

 従って、ファイトケミカルは五大栄養素が持っていない働きを補う、非常に重要な機能を持っている。食物繊維で六大栄養素、ファイトケミカル加えて七大栄養素というが、ファイトケミカルは栄養素ではないが、非常に重要である。

 

【ファイトケミカルの機能】

ここでファイトケミカルの機能を考えてみる。

①    活性酸素を消去する抗酸化作用

②    老廃物や有害物質を解毒するデトックス作用

③    免疫力を強くする作用

④    アレルギーや炎症を抑える作用

⑤    発がんを抑制する作用

⑥    血液をサラサラにする作用

⑦    動脈硬化を予防する作用

⑧    ダイエット効果

⑨    アンチエイジング作用

⑩    ストレス緩和作用

 

それぞれの理由は次のように考えられる。

①    酸素は生命活動の維持に必要だが、毒性も持っている。人間の病気の9割以上に「活性

酸素」が関与していると言われている。がん、動脈硬化、脳神経、眼疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患、皮膚(しみ、しわ)、アレルギー、自己免疫疾患など多数ある。

 

私たちは呼吸によって大量の酸素を体内に取り入れているが、そのうちの約1~2%が活性酸素に変化する。活性酸素の種類には、スーパーオキシド(スーパーオキシドアニオンラジカル)・ヒドロキシルラジカル・過酸化水素・一重項酸素がある。

スーパーオキシドはスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)という酵素で過酸化水素(H2O2)に変化し、さらにカタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼで水や酸素に分解され無毒化される。しかし活性酸素が増えると処理が追いつかなくなり、スーパーオキシドから一重項酸素、過酸化水素からヒドロキシルラジカルなど毒性が強い活性酸素になる。特にヒドロキシルラジカルはスーパーオキシドの数十倍の毒性があり、DNAを傷つけたり、アポトーシスを誘導してがんを発生させたり、免疫力を低下させたり、悪玉コレステロールを酸化して動脈硬化を進行させるなど色々な病気の原因になる。

私たち人間はヒドロキシルラジカルを分解する酵素を持っていないので、抗酸化物質を摂取する必要がある。一重項酸素に対する消去力は、ファイトケミカルのプロアントシアニジンにはVEの50倍、VCの20倍、カテキンにはVEの20倍、リコペンにはVEの100倍の抗酸化作用がある。ヒドロキシルラジカルを中和できるのはVEだけだが、α,β-カロテン、フラボノイドなどのファイトケミカルも中和することが出来る。

命の野菜スープには、十分なVC、VE、α,β-カロテン、フラボノイドなどのファイトケミカルが含まれている。

②    肝臓の第Ⅱ層の解毒酵素の遺伝子を活性化し、体内の有害物質を無毒化し排泄を促す

・クルクミン(ウコン)・スルフォラファン(ブロッコリー)・グルタチオン(アスパラ)

 

③    攻撃力を増す作用

・ジンゲロール(ショウガ)・アリシン(ニンニク)・β-カロテン(ニンジン)・β-グルカン(きのこ類)・フコイダン(海藻類)・オイゲノール(バナナ)

 

④    アレルギーや炎症を抑える作用

・ケルセチン(タマネギ)・ルテオリン(ピーマン)・ヘスペリジン(ゆずやみかんの皮の白い部分)・プロアントシアニジン(ブドウ種子)・ジンゲロール(ショウガ)

 

⑤    発がんを抑制

・イソチオシアネート(ブロッコリー、白菜、キャベツ)・システインスルホキシド(ニンニク)・クロロゲン酸(コーヒー)・イソフラボン(大豆)・リコペン(トマト)

 

⑥    血栓が出来るのを防ぐ

・ケルセチン(タマネギ)・アントシアニン(赤ワイン)・レスベラトロール(赤ワイン)・ルチン(そば)・ジアリルトリスルフィッド(ニンニク)

 

⑦    LDLコレステロールの酸化を防ぐ

・セサミン(ゴマ)・セラミノール(ゴマ油)・レスベラトロール(赤ワイン)・テアフラビン(紅茶)・クロロゲン酸(コーヒー)

 

⑧    ダイエット効果

・カプサイシン(トウガラシ)・ジンゲロール(ショウガ)・アリシン(ニンニク)・13‐oxo‐ODA(トマト)

 

⑨    アンチエイジング・老化(脳・目・骨)を防ぐ作用

・レスベラトロール(赤ワイン)・フィセチン(イチゴ)・テアフラビン(紅茶)・カルノシン酸(ローズマリー)・フェルラ酸(玄米・コーヒー)・アントシアニン(ブルーベリー)・ルテイン(ホウレンソウ)・イソフラボン(大豆)・ケンペロール(ブロッコリー)

 

⑩    ストレス緩和する作用

・α-ピネン(ミョウガ、春菊)・シネオール(カモミール)・アピイン(パセリ、セロリ)・セダノライド(セロリ)

 

【ファイトケミカルの効果的な摂取法】

 では、ファイトケミカルの一番効果的な摂取法はというと、野菜や果物の細胞は固い繊維で出来た「細胞壁」に守られていて、ファイトケミカルはその細胞壁に守られた細胞膜や細胞の中にある。そのため細胞壁を壊さないとファイトケミカルを効果的に摂取出来ない。細胞壁を壊す方法は色々あるが、一番簡単な方法は加熱することである。

 加熱により細胞壁が壊れ、ファイトケミカルやビタミンは吸収されやすくなる。ファイトケミカルは熱に安定的なものが多いので加熱しても壊れないものがほとんどである。生のままでも問題はないが、むしろ煮てスープを一緒に摂ることによって無駄なくファイトケミカルを摂取出来る。野菜を煮たら煮汁を捨てず、スープを一緒に摂ることが大切である。

 

 ファイトケミカルを多く含む野菜や果物は私たちの五感に訴えてくる。色、香り、辛味などがしっかりした野菜・果物がファイトケミカルをたくさん含んでいる。路地栽培で旬の野菜もファイトケミカルが豊富である。そんな食材を選ぶことが大切である。

 

 重要なことは、ファイトケミカルは植物だけが作れる物で人間は作れない。したがって私たち人間は野菜や果物、ハーブを食べることでしかファイトケミカルを摂取することが出来ない。

 ファイトケミカルは皮や葉や種などにも含まれているので、一物全体(いちぶつぜんたい)を丸ごと食べることも大切である。全ては宇宙の恵みである天・地・人(自然環境・テロワール・作り手)、すなわち、豊かな自然環境、安心安全な土地、そして良き作り手を大切にしてこそ私たちの命と健康は守られるわけである。

 

【命の野菜スープ】

 命の野菜スープは素材が決め手である。良い素材で作った命のスープは間違いなく美味しく元気になる。そして毎日続けると、若返って病気にならない体になる。元気で長生きするために、是非今日から「命の野菜スープ生活」を始めていただきたい。

(報告:三浦利加子 学術委員)

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