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​研究会報告

2021年1月 JAMHA主催 第2回学術フォーラム

第1部『メディカルハーブによる食物アレルギー体質の改善効果について』門脇真先生(富山大学名誉教授)

近年、先進国を中心に食物アレルギー疾患が増加しているが、根本的治療法は未だ開発されていない現状である。ピーナッツなど重篤なアレルギーを引き起こすものもあり、欧米では大きな問題になっている。そこで食物アレルギーモデルマウスに漢方薬・葛根湯を投与してみると、腸管に制御性T細胞を誘導して食物アレルギーを抑えることがわかった。メディカルハーブに含有される成分にも同様の作用が期待できるため、3つのハーブ(ペパーミント・ネトル・カモミール)について検討してみた。

 

【食物アレルギー】

 食物アレルギーとは、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」つまり、生体にとって必要であり無害である食物が摂取されると、食物抗原は元々鶏や牛であるので異種の抗原ではあるが、食物に関しては自分のものとして免疫寛容を引き起こすシステムがある。これにより栄養素を取り込んで我々は成長・発育することが出来る。ところが免疫が引き起こされない場合、食物アレルギーが発症される。これには、Th2型免疫応答が深く関与する、多くの場合抗原特異的IgEに依存する、マスト細胞の脱顆粒が症状発症に深く関与することが言われている。

 

わが国における食物アレルギーの有症率は推定1~2%程度、フランスでは3~5%、アメリカでは3、5~4%とする報告がある。これはほとんどの場合先進国であり、発展途上国ではアレルギー疾患は非常に少ない。食物アレルギーを引き起こす食物としては、鶏卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、果物、魚卵、甲殻類、ナッツなどがある。症状としては、湿疹などの皮膚症状に現れることが多い。他に呼吸器症状、ただれるなどの粘膜症状、下痢などの消化器症状があるが、時にはアナフィラキシーショックを引き起こし死に至る場合もある。

乳児・幼児期の即時型食物アレルギーの主な原因である鶏卵、乳製品、小麦は、その後加齢とともに耐性を獲得する(3歳までに50%、学童までに80~90%)が、学童から成人で新規発症する即時性の原因食物は甲殻類、小麦、果物、魚類、ソバ、ピーナッツが多く、耐性獲得の可能性は乳児発症に比べて低い。つまり、年齢が上がるにつれて耐性獲得しにくくなっていく。

 

食物アレルギーの治療としては、「〈原則〉正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」であり、食物アレルギーに有効な薬物はない。薬物療法はあくまで補助療法である。クロモグリク酸ナトリウムは食物アレルギー関与のアトピー性皮膚炎で保険適応だが、あまり用いられない。抗ヒスタミン薬は花粉症には効くが食物アレルギーには効かないことがわかっており、最新のガイドラインからは薬物療法が消えている。「必要最低限の原因食物の除去」とは、食べると症状が誘発される食物だけを除去することで、卵アレルギーの人が牛乳を制限する必要はない。また、食べられる範囲の量を除去する必要はなく、最近は積極的に食べられる範囲まで食べることが進められている。これは、食べることを訓練することでアレルギーを脱する可能性があることがわかってきているためである。食物アレルギーは「治療薬がないため、根本的な治療法の開発が望まれている」現状である。

 

乳幼児発症食物アレルギーの予知・予防として、食物アレルギーの発症リスク因子に家族歴、遺伝的素因、皮膚バリア機能、出生季節などが報告されているが、なかでも乳幼児のアトピー性皮膚炎の存在が特に重要である。アトピー性皮膚炎のある児は健常児と比較して食物へ感作されやすい。昔は食物アレルギーは口から摂取すると誘発されやすいと考えられていたが、今は皮膚から最初の感作が起こることがわかってきている。エビデンスもたくさんあり、まずアトピー性皮膚炎を治すことが、食物アレルギーの予防の第一歩と考えられている。

発症予防として、離乳食の開始時期は生後5~6ヵ月頃が適当であり、食物アレルギーの発症を心配して離乳食の開始時期を遅らせることは推奨されない。昔はなるべく感作しないように口から入れることを避けていたが、今は口からの感作よりは皮膚からの感作が大きいので、遅らせるというよりはむしろ早めるという考え方である。乳児期早期からの保湿スキンケアをしっかりする、プロバイオティクス・プレバイオティクスにより湿疹発症が低下するというエビデンスがある。ピーナッツアレルギーの多い国では、乳幼児の早期(4~10カ月)からピーナッツを含む食品の摂取を開始することが奨励されている。日本小児アレルギー学会でも、生後6カ月から鶏卵の微量摂取を開始することを奨励している。ただし、鶏卵以外の食物に関しては、食物アレルギーの発症リスクの低減を目的とした微量摂取は推奨していない。

 

【腸管機能の制御システム】

食物アレルギーは腸管で発生するので、腸管機能の制御システムを理解することは重要である。腸管には食道から肛門まで神経系のネットワークがあり、腸にも脳があると言われセカンドブレインと言われている。また、腸管には免疫細胞もたくさんある。このようなものがイントラネットを作って生体の恒常性の維持、生体防御を担っていると考えられている。

腸管粘膜免疫系は、「病原微生物や異種抗原などを排除するための最前線の生体防御機構であり、さらに腸管の常在性腸内細菌や食物抗原などに対しては、〝自己″とみなして過敏で過剰な免疫応答を抑制するというような〝非自己である異種抗原の排除と自己に対する免疫寛容″を巧妙に操る高度に発達した免疫機構」である。

食物は基本的に無菌ではなくたくさん雑菌が入っている。消化管の粘膜は生体と外界とのインターフェイスであり、多くの外来抗原に絶えず暴露されている。内なる外といわれるように表面積はテニスコート15面分、皮膚の約200倍ある。消化管は広い面積で栄養素を吸収するには好都合だが、病原体に対してディフェンスしなくてはならないのでかなりの量の免疫細胞が必要になってくる。ゆえに、生体の中すべてのリンパ球の60~70%、抗体産生細胞の約80%が腸管に存在する。腸管粘膜には、T細胞、マクロファージ、樹状細胞、マスト細胞、形質細胞(抗体産生細胞)など多様な細胞が集まっている。この中のひとつ免疫細胞が多く集まっているところがパイエル板である。

 

腸管粘膜免疫機構では、基本的に食物抗原などが樹状細胞に取り込まれその情報をまだ分化していないナイーブT細胞に伝達し、そのナイーブT細胞が病原性抗原に対するT細胞を誘導して免疫応答が成り立つというシステムがある。

腸管に限らず、生体の中には正の免疫応答と負の免疫応答がある。食物アレルギーに関しては、食物抗原が抗原提示細胞である樹状細胞により細胞内へ取り込まれ、そのナイーブT細胞からTh2細胞の免疫応答を引き起こしてIg産生する形質細胞に情報を伝える。抗原特異的IgEがマスト細胞に結合すると、マスト細胞から食物アレルギー症状を引き起こす化学物質が放出されるしくみである。ただIgEというのはアレルギーを引き起こすグロブリンだが、元々は寄生虫感染などの生体防御に使われていたものである。

免疫寛容を引き起こす負の免疫応答もある。食物を食べると腸管の粘膜免疫機構によりそれが認識される。この中に病原性のものがたくさんあるとIgAを産生する。これが多く産生されると正常であるが、少ないと腸管の感染症になる。またこれが食物になると免疫寛容が引き起こされる。これが適度に引き起こされると正常であるが、免疫寛容が弱いと食物アレルギーが引き起こされる状況になる。

 

【食物アレルギー病態モデル】

そこで我々は食物アレルギー病態モデル(FA)のマウスを作って検討した。バルブCマウスというFAマウスは血漿中のOVA(ニワトリの卵白アルブミン)に対して特異的IgE抗体が出てきた。またTh2の特異的サイトカインであるIL-4が増えてきた。その時に原因となるのがマスト細胞である。マスト細胞は粘膜型と結合組織型に大別される。結合組織型はいわゆるマスト細胞で、例えば花粉症で鼻水やくしゃみが出るのはこのマスト細胞が原因となる。このマスト細胞は顆粒がありこの中にヒスタミンが非常に多く含まれていて、マスト細胞が刺激されるとヒスタミンがたくさん出てくる。それにより、鼻水が出たりくしゃみが出たり目がかゆくなったりする。このようなアレルギーに対しては抗ヒスタミン薬は効く。ところが、粘膜型マスト細胞はヒスタミンを含んでいる顆粒がほとんどなく、消化管粘膜、軌道粘膜に存在する。食物アレルギーはこのマスト細胞が原因となる。ヒスタミンが少ないので抗ヒスタミン薬が効かない。

正常マウスに比べFAマウスの腸管では、粘膜型マスト細胞が著しく増加していた。マスト細胞が脱顆粒するとmMcp-1という酵素が血中に出てくるが、FAマウスの血中にもmMcp-1が増加していた。

 

【葛根湯による治癒効果】

生体防御システムは免疫系、神経系、内分泌系、これらがお互いにインターラクションしながら恒常性の維持を図っている。これが破綻すると様々な病気になってくる。アレルギーもそのひとつである。そこで我々は特にアレルギーに関連するような漢方薬を先ほどのモデルにかけて検討した。

その結果予想外だったが、知名度ナンバーワンの葛根湯がアレルギーを抑制することがわかった。葛根湯は風邪に対する漢方薬で有名だが、蕁麻疹などの免疫系疾患にも効果を発揮すると今までも言われていた。

葛根湯は、生姜・甘草・麻黄・桂皮・芍薬・大棗・葛根の7つの生薬から成る漢方薬である。葛根湯を投与して食物アレルギーが抑制されたのでそのメカニズムを検討した結果、Th2の特異的なサイトカインであるIL-4mRNAの遺伝子の発現量が落ちた。また、粘膜型マスト細胞の数や血漿中のmMcp-1量も落ちたことがわかった。

 

【T細胞の分化】

ここでT細胞の分化を考えてみる。樹状細胞が抗原情報をナイーブT細胞に伝達すると、抗原情報により人、あるいはマウスでは色々なエフェクターT細胞に分化する。Th1は感染防御、Th2はアレルギー、Th17は炎症や感染防御に関するT細胞である。もうひとつ制御性T細胞(Foxp3⁺Treg)というのがある。これは負の免疫応答の主役となるT細胞で、Th1,Th2,Th17の細胞の効果を抑制すると言われている。

この時にナイーブT細胞から制御性T細胞の分化に必要な二つの要素がある。それがビタミンAであるレチノイン酸(RA)とTGF-βというサイトカインである。

 

制御性T細胞は、「アレルギーの発症などにおいてTh2細胞の活性化の抑制やマスト細胞の脱顆粒の抑制等によりアレルギーの発症を防ぐ」と考えられており、食物に対する免疫寛容の成立に不可欠である。では、葛根湯の効果はどうかと検証したところ、葛根湯を投与すると腸管の中の制御性T細胞が非常に増えた。Foxp3⁺という制御性T細胞のマーカーも、食物アレルギーの時は12,8%しかなかったのが葛根湯になると21,5%まで増えていたことがわかった。

免疫療法における制御性T細胞の働きは、制御性T細胞がアレルギーの元となるようなTh2細胞、IgEを産生するT細胞、マスト細胞を抑えてくれる。

 

【葛根湯を併用した経口免疫療法による治癒効果】

葛根湯の臨床応用を目指してということで、更に検討を重ねた。アレルギー疾患に対する対応としては、アレルゲン回避、薬物療法、免疫療法などがあり、食物アレルギーに関しては経口免疫療法(OTI)が行われている。経口免疫療法とは、「自然経過では早期に耐性獲得が期待できない症例に対して、事前の食物経口負荷試験で症状誘発閾値を確認した後に原因食物を医師のもとで経口摂取させ、閾値上昇または脱感作状態としたうえで、究極的には耐性獲得を目指す治療法」と定義されている。つまり、根本的に治そうという治療法であるが、安全性と効果において問題点も多いのも事実である。

 

そこで、葛根湯を併用したOITモデルを作った。まず発症させた後OTIを行い、葛根湯を投与することを行った。その結果、食物アレルギーには90%位のマウスがなるが、OITを実験的にやると、半分位効果があった。それに葛根湯を加えると更に60~70%位の効果があった。OITに比べても効果があり、より安全に行うことが出来たということがわかった。

メカニズムを探ってみた。いわゆるTh2のサイトカイン、IL-4、IL-5、IL-13、GATA3、これらをすべて抑制することが出来た。更に粘膜型マスト細胞の脱顆粒も抑制した。制御性T細胞もOIT+葛根湯で制御性T細胞の割合が優位にたった。

レチノイン酸が本当に制御性T細胞を誘導するのかという実験も行った。ナイーブT細胞から制御性T細胞、ポジティブな制御性T細胞、この時にレチノイン酸を加えることにより、容量依存的に制御性T細胞が増えてくることが確認できた。

 

レチノイン酸にはレチノイン酸を分解する酵素CYP26B1とレチノイン酸を合成する酵素ALDH1A1がある。この酵素を検討してみると、OIT+葛根湯でCYP26B1を優位に抑制することが出来た。分解酵素の発現を抑制するということは、レチノイン酸が分解されにくくなる。つまり、レチノイン酸はレチノイン酸のままで生体内にとどまってくれるということである。ALDH1A1は多少増加するという傾向になった。つまり、CYP26B1阻害により、レチノイン酸の濃度が上昇するであろうということがわかった。

すなわち、食物抗原があり樹状細胞がその情報を持ってくる。そこにレチノイン酸があると未成熟T細胞が制御性T細胞の形になり増えて、Th1,Th2などのT細胞を抑制してくれることがわかった。つまり、レチノイン酸の分解を抑制してレチノイン酸が生体内に多くとどまることにより、制御性T細胞が誘導されてT細胞や粘膜型マスト細胞を抑制するという形になる。食物アレルギーに対しては免疫寛容を誘導することにより、食物アレルギーを治癒する方向に働く。よって、OTIと葛根湯の併用療法はOTI治癒効果を高め、食物アレルギー疾患の根本的治療法として有用となることが期待される。また、葛根湯は腸管免疫系の破綻に起因する食物アレルギーに対して免疫寛容を誘導出来る可能性があるということである。

 

葛根湯の葛根エキスに関しても、弱いながら食物アレルギー性消化器症状を抑制したことがわかった。葛根湯の中には7つの生薬が含まれているが、メインとなる葛根に含まれているプエラリンの成分について検討してみた。プエラリンを投与すると食物アレルギーの発症を抑制することが出来、IL-4の発現量も抑制することが出来た。また、制御性T細胞も誘導することが出来た。

 

次に、レチノイン酸の効果を発揮するためにはレチノイン酸の受容体に結合する必要がある。レチノイン酸の受容体を阻害するような薬物LE540があるが、LEE540を投与するとプエラリンによる効果をキャンセルさせることが出来た。すなわち、プエラリンがレチノイン酸の産生濃度を上昇させることにより、レチノイン酸がレチノイン酸の受容体に結合することで効果を発揮することがわかった。プエラリンは制御性T細胞の割合を上昇させ、制御性樹状細胞の割合を上昇させる。レチノイン酸受容体の阻害剤はプエラリンの効果をキャンセルすることが出来た。

何故このようなことになったかというと、レチノイン酸はALDH1A1のmRNAの発現を上昇させるからであるが、これは葛根湯の作用とは逆、違う作用である。

 

このような生薬が腸管上皮細胞においてALDH1A1の発現においてどのように作用するかも検討した。7つの生薬の抽出物の中で葛根を含む葛根エキスはほとんど効果がなかったが、生姜の抽出液はALDH1A1の発現を上昇させた。更にたんぱくレベルでもALDH1A1のたんぱくの発現を上昇させることがわかった。また生体の中で生姜の抽出物を投与すると、制御性T細胞が増えることがわかった。すなわち、生姜はALDH1A1、レチノイン酸を合成する酵素を上昇させることによりレチノイン酸の産生量を向上させて、制御性T細胞を誘導し食物アレルギーを抑制することが期待される。

 

腸管粘膜におけるCYP26B1酵素の発現についての作用も見た。クズとイソフラボンを投与してCYPの酵素の発現をみた。葛根においてCPYの発現は下がるが、クズにおいてもCPYの発現は下がる、抑制することが出来た。クズ中には、プエラリン以外のイソフラボンも含まれるが、特にゲニスチン、ゲニスティンが抑制に関わっていたことがわかった。FAマウスにこれらを投与すると、食物アレルギー性の下痢が治まった。

すなわち、腸管粘膜におけるCYPはイソフラボンのアグリコンがCYPの発現を抑制して、レチノイン酸濃度を上昇させ食物アレルギーを抑制することがわかった。

 

このように葛根湯は多くの生薬の抽出物のかたまりで様々な成分があり、ALDHを上げるものやCYPを下げるものがあるが、早退として安全に制御性T細胞を上げる効果がある。

そこで、天然薬物の中に食物アレルギーに対して抑制効果があるようなものがあるので、そのようなものがハーブにもないかということで、研究提案させていただいた。

 

【アレルギーを緩和するハーブ】

アレルギーを緩和するハーブとして、ペパーミント、ネトル、カモミールの3つのハーブについて検討してみた。

 

・ペパーミント すっきりした清涼感のある香りでファンも多いが、アレルギー症状を緩和してくれるハーブのひとつである。ペパーミントに含まれているポリフェノールが鼻粘膜周辺の腫れや炎症を緩和して、特にスギ花粉症に効果がある。

 有効成分として、フラボノイド系のフラボンであるアピゲニンやルテオリン、フラボノールのクエルセチン、イソフラボンとしては先ほど検討したプエラリンなどが含まれている。プエラリンの構造式はダイゼイン8-C-グルコシドであり、8位の糖が外れるとダイゼインになる。

 

・ネトル ネトルはアレルギー症状を緩和する成分である抗ヒスタミンを含んでいることから、花粉症などのアレルギー性の鼻炎に作用するハーブである。また、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいるため、体調管理にも最適である。

 有効成分として、フラボノールのクエルセチンやルチン、ビタミンA・B群・Cや鉄、カルシウム、マグネシウム、クロロフィルなどが含まれている。

 

・カモミール 花は「医者の薬」と言われるほど代表的な医療用ハーブである。消化器系症状や炎症を抑える効果が高く、概要で皮膚疾患などに利用される。

 有効成分として、フラボノイド系のフラボンであるアピゲニンやルテオリン、フラボノールのクエルセチンが含まれている。

アピゲニンは多くの植物に含まれるフラボンであり、人体中で多くの医薬品の代謝に関わる酵素CYP2C9の阻害剤としても働くということが現在言われている。ルテオリンは抗酸化物質活性、炭化水素代謝の促進、免疫系の調整、2型糖尿病の治療に作用を発揮する可能性があると考えられている。クエルセチンはヒスタミンの生成や遊離など炎症に関するいくつかの過程を抑制すると考えられている。これも薬物酵素CYP2C系の阻害剤としての報告がある。

 

我々は腸管上皮細胞及び腸管粘膜細胞におけるCYP26B1の発現及びALDH1A1の発現を見ていった。メディカルハーブのフラボノイドの成分を腸管上皮細胞及び腸管粘膜細胞に そうするとCYP26B1の発現はきれいに抑制することができた。すなわち、レチノイン酸の分解を防ぐということが考えられる。ところが、ALDH1A1の発現に関してはアピゲニン、ルテオリンはほぼ影響がないことがわかった。ただクエルセチンに関しては少し抑制するような効果になってしまった。

 

【メディカルハーブによる食物アレルギー体質への改善効果】

メディカルハーブは、腸管でレチノイン酸分解酵素であるCYP26B1の発現抑制を介してレチノイン酸量を増加させ、CD103⁺樹状細胞によるナイーブT細胞から制御性T細胞への分化産生を亢進させる事により、食物アレルギー体質を改善させる効果が期待される。

(報告:三浦利加子 学術委員)

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