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研究トピックス

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No.30 サンダルウッドのヒト神経芽細胞腫細胞でのTLR3を介した神経炎症反応に対する神経保護効果

神経炎症は,アルツハイマー病などを含むさまざまな神経疾患に関連する神経系の炎症反応である。

そしてサンダルウッド(ビャクダン科ビャクダン属 Santalum album)は,深遠な香りを持ち,人々の精神性と深く結びつくことから,インドなど各地の文化で古くから愛され,日本でも香文化や仏教事で活用されてきた。またその精油はアロマテラピーでも親しまれている。

 

今回紹介する研究では,サンダルウッド抽出物(以下,サンダルウッド)の抗炎症作用について,in vitroでの神経炎症反応をみることにより,免疫応答への関与のメカニズムを明らかにすることを目的としている。

 

ヒト神経芽細胞腫細胞(SH-SY5Y細胞)を培養し,トール様受容体3(TLR3)アゴニストのポリイノスニック-ポリシチジル酸(PolyI:C)で神経炎症を誘発し,サンダルウッドを付与した。そして細胞の免疫応答について,いくつかの免疫機能の変化を示すパラメータについて検討した。また更に,ヒト結腸癌由来の細胞株であるCaco2細胞において,PolyI:C誘発炎症反応に対して検討した。

 

その結果,サンダルウッドは,SH-SY5Y細胞のTLR3を介した免疫応答を調節することが確認された。また,サンダルウッドを含む培地で細胞を培養することにより,免疫系の因子であるIFN-β,IFN-α,MxA,およびOAS-1のmRNAレベルが大幅に増加し,IL-6,CXCL8,CCL2,およびIP-10が減少すること,Caco2細胞におけるPolyI:C誘発性炎症反応を調節することが確認された。

 

これらより,サンダルウッドは,SH-SY5Y細胞におけるIFNおよび炎症性サイトカインの発現に間接的に影響を及ぼし,TLR2,TLR4の誘導,およびTRAF3,IRF3,NF-κB経路のTLR調節因子の調節を通じて,PolyI:Cが誘導する神経の炎症を抑制することが示唆された。

本研究は,サンダルウッドの抗炎症について,免疫応答のメカニズムへの働きかけをみた解析研究であるが,研究に用いたSH-SY5Y細胞は,ヒト神経芽細胞腫由来の細胞株で,神経の機能および分化の研究モデルとしてよく使用されるものであり,サンダルウッドの作用として,脳の高次機能に関与することが考えられる神経の炎症に注目しているところが興味深い。また,もう一つのCaco-2 cellは,培養により小腸の円柱上皮細胞に似た刷子縁やタイトジャンクションの形態学的特徴を示すもので,腸の上皮細胞での選択性への関与についても更なる解明が期待される。

 

〔文献〕Kanmani Suganya et.al.,  Santalum album extract exhibits neuroprotective effect against the TLR3-mediated neuroinflammatory. Phytother Res. 2021 Apr;35(4):1991-2004.
 

(5/25/2022 報告:村上志緒 学術委員)

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